2006年7月のエントリー 一覧

天を衝く

炎立つに引き続いて高橋克彦氏の作品。

岩手県北部および青森県東部、秋田県の一部を支配する南部氏。
そのなかには宗主の三戸を本拠とする南部氏、ともに同じ南部一族であるが、九戸を本拠とする九戸氏、八戸を本家とする八戸氏と大きく三つの力に分かれる。
そのなかの九戸氏の九戸政実を主人公とする作品である。

様々な戦いを経て、最終的には豊臣秀吉による天下統一の前に九戸政実が意地を張り、九戸城に立てこもるという筋書き。

政実が率いる九戸党が強いのは分かるが、政実が万能すぎる。
それならばなぜ天下統一をしなかったのか、というと南部氏の分裂を避けるためいろいろしてたら時間切れ、秀吉の天下となるが、政実は気にくわないから喧嘩を売る。

おそらく私は高橋克彦氏とはあわないのだろう。全てが主人公の手のひらの上で物事が動いていく展開がどうも気にくわなくてたまらない。

天を衝く 高橋克彦 全二巻 講談社  25/100点 万能なのに意地を張る。人が死ぬ。主人公の思想に無理があるような気がする

炎立つ

岩手に来て、歴史を読もう、ということで読んでみました。

昔は東北は蝦夷と呼ばれる人たちがいて、中央政権(京都)とは異なった政治が行われていたようです。一応名目上は従属しているという形で中央政権に年貢を出していた。

その蝦夷の長が安部氏。安部貞任(さだとう)と呼ばれる人物が当主の頃に前九年の役があり、岩手県を舞台にそれを描いた作品。
源頼義が陸奥守として赴任して戦いが始まるのだが、朝廷側の藤原経清らが蝦夷側に荷担し、貞任らとともに戦う。

その後安部氏は経清らとともに滅び、江刺周辺、奥六郡と呼ばれる地域は清原氏のものとなる。
清原氏の内乱、陸奥守に任ぜられた源義家ら朝廷側との駆け引きの中、安部氏とともに滅びた藤原経清の子孫、清衡が後を継ぎ、奥州藤原氏の誕生となる。
その後、源義経が誕生し、奥州との関わり、最後の自刃、藤原氏の滅亡、つまり蝦夷の支配の終焉までを描く。

読後感としては、作者の高橋克彦氏が岩手県出身であり、東北の歴史を刻んだものであろうが、作者が肩入れした側があまりにも理想的に描かれていて少々鼻につく。
作品を描くには動機付け、最後の締めが重要である。そこにどう持っていくかが負けた側を描いているのもあって難しいのだろう、そのためもあって蝦夷の誇りの部分が強調されすぎているし、戦いの進行も公平な目で見たものとは言い難いと思う。

作戦のため勝っていたし、もっと持ちこたえられたが、あえてもっと奥に退却したはずがそこで滅亡する、という急展開。勝っていたところしか描いてなかったのにいきなり負ける。よく分からない。
蝦夷の誇り、という大義名分のために歴史を曲げている、すなわちこれはフィクションなのだろう。
司馬遼太郎氏の作品と同様に読んで、それを歴史と認識するのは大きな間違いかもしれない。

フィクションとして楽しむのならばいいが、それを東北の歴史として認識するには難がある作品だろう。

炎立つ 高橋克彦 全五巻 講談社文庫  30/100点 作者の意図を感じすぎる。邪推しすぎかも?

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